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♪自作の部屋

 

【おなじみパーツの紹介】

アナログシンセでよく使われるパーツ類を紹介します。

品番末尾の「▲」は廃品種を、「△」は廃止予定品を示します。また「■」はRochester Electronicsによる再生産または再販売が始まったものです。

品名

解説

おもな製品

メーカ

特徴

モノリシック
Dual
トランジスタ/アレー

●「モノリシック」とは
mono(
単一)lithic(石の)という言葉からなり、その通り1つのチップに複数のデバイスが作りこまれていること。
アナログシンセの心臓部であるアンチログやトランスリニア回路は、複数のトランジスタの特性・温度条件が揃っていることを前提にしているので、実際上モノリシックのマルチトランジスタがどうしても必要になる。
一般的に2個入りはDual(またはTwin)トランジスタ、3個以上になるとアレー(array)と呼ばれる。

●アンチログアンプ
シリコンPN接合に流れる電流と飽和電圧(Vbe)が対数関係にあるという物性を利用するため、宿命として温度に大きく影響される。大きく2つの温度係数が現れるが、そのうちの1つを打ち消すため、Dualトランジスタを使用する(もうひとつの温度係数を補償するのが温度補償抵抗)
なお、恒温(高温)補償方式では、原理回路通りトランジスタ1個でも動作する。

VCA・リングモジュレータ(乗算回路)
VCA
の基本回路のうち、トランスコンダクタンス方式かログ-アンチログ方式による乗算回路にはモノリシックが必須。いずれも専用ICがあるが、ダイナミックレンジやノイズ・歪率などを好みの仕様とするなら、トランジスタアレーやDualトランジスタを使ってディスクリートで作る。
乗算回路ができれば、そのままリングモジュレータになる。

VCF(ラダー)
Moog
タイプのVCFでは、個別のトランジスタのVbeを選別して使用するが、モノリシックのDual/アレーを使用すると、ある程度無選別でも組み立てられる。
Roland
タイプのダイオードラダー方式でも、モノリシックのダイオードアレーがなくなった(CA3019,CA3039など)ため、トランジスタアレーをダイオード接続するという裏技がある。
同様に、mini-Moogの補修としてCA3019/3039の代用例がある。

●カレントミラー
特性のそろったトランジスタは、カレントミラー(1のトランジスタのコレクタ電流と同じ電流が第2以降のトランジスタに流れる)が構成できる。

2SA1349
2SC3381

東芝

2個のTrが独立しており、ラダーVCFなどに便利だった。

2SA794
2SC1583

三菱

国産低価格品の元祖。エミッタコモン。廃止になって20年以上たつがファンは多い。

2SA1928
2SC5168

2SC5169

イサハヤ

上記三菱品の後継。イサハヤ電子は三菱から移管されたメーカー。

MAT01
MAT02

MAT12
MAT03
MAT04

MAT14

ADI

高精度モノリシックDual04Quad)。高価だが性能は確か。

SSM2210
SSM2212
SSM2220

ADI

22102212NPN
2220
PNP
オーディオ用を標榜。
2210
LM394コンパチ。22122210後継。

LM394
LM194

NS

高精度Dual NPN
AN299
ほか、応用回路例に注目。

CA3045
CA3046

CA3096

RCA

30453046NPN×530453046の工業用グレード)。
3096
2PNP+3NPN

トランスコンダクタンスアンプ(OTA

●「CA3080
OTA(Operational Transconductance Amplifier)
の元祖。
gm
の可変幅がおよそ3桁におよび、そのリニアリティもディスクリートでは実現困難なレベル。若干電流性ノイズが多いのは、回路構成上止むを得ないところ。
シンセではあまり重視されていないが、3080は非常に高速・広帯域で、データシートのTypical Applicationではボルテージフォロワが掲載されているほど。その点で工業計測・制御分野で多用されたためにセカンドソースを含めて大量に流通し、コストダウンできた。
工業分野に特化したものとして、強力な出力バッファが組み込まれたCA3094があった。

VCA
問答無用、天下無敵の基本デバイス。
元祖の3080は、制御電流やノイズ・歪率の点で扱いづらいものだったが、ARPKORGなどで幅広く採用された。

VCF
バイクアッド(状態変数)方式は、パーツ数が多いため比較的特殊な用途と考えられていたが、OTAでの制御にマッチしたため、モジュラー・オールインワン問わず多数採用された。

NE5517の評判
なぜかSynth-DIY MLでは評判がイマイチ。
調べてみると流通上の問題でスカを掴まされた疑いもあるが、核心的な追求はできていない模様。
MMS Lab
としては137003280で設計した回路に差し替えて問題はなかった。(3280よりノイズは目立つが13700とはまったく差異を感じられない。)
テストレポート歓迎。

CA3080

RCA

市販品・自作の世界で永らく標準的に使用されてきた。

CA3280

RCA

Dualタイプ。回路的にはLM13700類似だが、ノイズ、歪率は飛躍的に改善されている。Profet5で有名。

LM13600
LM13700

 

NJM13600
NJM13700

NS

 

JRC

Dualタイプ。3080の弱点だった入力ダイナミックレンジを改善するダイオードアッテネータを内蔵。1370013600の違いは、出力バッファアンプ部の接続とバイアス回路。セカンドソースはNJRCなど。

NE5517

ONsemi

Dualタイプ。LM13700とはコンパチだが、低電圧動作に弱いとの報告も(要追試)

オリジナルはSignetics(NPX)だが、現行品はセカンドソースのONsemiのみ。

VCA

VCAとして最初から作られた専用IC
プロ用機器がDSP全盛の世の中でも、リニア(アナログ)制御のミキシングコンソールなど需要は少なくないため、結構な品種が流通している。

SSM2164の応用
SSM2164
は廉価(US3.5以下)でQuadという魅力があるものの、消費電力=発熱が大きく、しかもゲインの温度係数が大きいのが難点。これを改善する提案がEDN誌に発表されたことから改めて注目を集め、ゲインコントロールだけでなくこれ自体の内蔵アンチログアンプを利用したログ/アンチログアンプも発表されている。
なお、ADIはディスコンをアナウンスしたが、世界中からの要望に押されて1年半ほど延命させた。20132月現在、LTB状態。代理店によれば遅くとも4月には受注終了となる見込み。セカンドソース(V2164)が廉価に出ているが、まだあまり流通していない(小売対応はSmall Bearのみ?)。

SSM2018

SSM2164

(V2164)

ADI

2018は標準Dual2164はローコストQuad
2164
VCFや温度補償アンチログを組むことができる。

Cool AudioV2164SSM2164の事実上のセカンドソース。

2180

2181

2162

THAT

2180/2181Single2162DualVCAとしての性能にこだわればこちら。

アナログ
マルチプライア
(乗算器)

●リングモジュレータ・VCAVCFVCO
内部的にはlog-antilog構成かトランスコンダクタンス構成の2種類がある。
OTA
より高価で入手性も良くなかったことから、シンセの世界にはあまり普及していない。
リングモジュレータは、本来純粋なアナログ乗算なので、マルチプライアを使えば容易に実現できる。制御電圧に対する直線性が保証されているため、クワドラチャ(正弦波発振)VCOなど面白い用途が多数ある。
アナログ演算の出番が少なくなっている時勢から絶滅危惧種になりつつあるが、もっと利用されて然るべきデバイス。

RC4200

FSC

Log-antilog構成。電源電圧が古風(+12V,-8V)でちょっと扱いづらい。
廉価、高速、高精度。

MPY634

TI

トランスコンダクタンス構成。±15V電源で、±10Vが扱えるなど使いやすい。
634
は高速(10MHzSR20V/us)。
633
は帯域がやや狭い(1MHzSR20V/us)。

AD633

ADI

オペアンプ

J-FET入力

●アクティブ回路全般
バイポーラ入力のものに比べ、オフセット電圧、同ドリフトなどDC特性は悪い場合が多い。
特長である低い入力バイアス電流はPN接合の漏れ電流なので、接合部温度が10度上がると2倍になる。たとえば25℃で500pAなら55℃では4nAとなり、741より悪いことになる(バイポーラ入力のIbは温度上昇に反比例して小さくなる)。
AC
特性は、周波数特性の悪いNPN入力段を持たないので高速・広帯域で、もっとも一般的な08x/07x系でSR13V/us

Bi-FET

Bi-FETという呼び方が広まっているが、これはNSが開発したモノリシックでFETとバイポーラを効率よく作りこむICの構造(アーキテクチャ)の商品名。一部の他社品ではBi-FETでないものもある点で、Rail-to-RailMotrola)やTTL(TI)とワケが違うので注意。

 

LF356

NS

Bi-FET構造の第一世代。AC/DC特性とも優れ、容量負荷にも強く現在でも主要な標準デバイス。第二世代よりやや高価でDualQuad品がないのが弱点。

TL08X

TI

第二世代の基本モデル。
SR 13V/us
、ft4MHz

廉価版のため出力が弱く、容量負荷で発振しやすい。

TL07X

TI

08xのローノイズ品。

LF351/353/347

NS

TL08xとほぼ同じ。

LF411/412

NS

08xDC特性改善版。
SR
15V/usと少し良い。

NJM2082

JRC

072の改良版。ローノイズで歪率などオーディオ特性規定あり。DC特性も良好。

MOS FET
入力

Rail-to-Rail入力向け
DC
特性はJ-FET入力よりもう一段劣る(オフセット電圧・ドリフト・ノイズが多い)。また静電気に弱い。
しかし入力バイアス電流はMOSの漏れ電流なので、J-FET入力よりなお1-2桁小さい(pAオーダ)Rail-to-Rail入力が可能で、その特性を利用して個性的な絶対値(全波整流)回路が組める。これは部品点数が少なく高速なので、エンベロープフォロワ、AC電圧計、周波数2逓倍などに使える。

ちなみに「Rail-to-Rail」はMotrolaの商標だが、他社も使っている(データシートや広告にクレジットがある)。

CA3130

RCA

元祖C-MOS OPアンプ。単電源16Vmax。入出力ともRail-to-Rail

CA3140

RCA

MOS入力バイポーラ出力。±15V電源。スピードは3130より劣る。

DC
(
高精度)

●制御電圧系
DC
特性(特にオフセット電圧、ドリフト)にこだわる場合は、四の五の言わずにOP07が第一選択。セカンドソースや上位互換の改良品も多数あり、意外なほど廉価で入手性も良い。ただしAC特性は特に控えめで、SR0.5V/usより小さいのが普通。入力段のスーパーβトランジスタが低速なのと、ドリフ トの原因になる発熱を抑えるため回路電流を極力絞ってあるため。

OP07

ADI

高精度アンプの標準品。
OP27
77、・・・は改良/バリエーション。
セカンドソースはNJRCTIほか多数。

高速

VCOなど・・・あまり使わない?
このクラスは実装に注意しないとすぐ発振し、消費電流・ノイズが大きく、シンセの回路としては使いづらい。一般的にはBi-FETオペアンプの登場で出番はなくなった。古典的なVCOの回路例として紹介されることが多いが、ファンクションジェネレータ(1MHz以上まで発振するもの)であり、音源としてはオーバースペック。

LM318

NS

元祖高速OPアンプ。
SR=50V/us

発振しやすくノイズが多いなど、ちょっと気難しいタイプ。アナログ式ファンクションゼネレータでは多用されたが、新規採用する意義は薄い。

uA715

NS

GB=65MHzSR=10V/us

単電源

単電源でRail-to-Rail入力可能で、電池駆動のエフェクタには欠かせない。
LM324
系は出力段がC級でクロスオーバーひずみがある。
これをAB級に改良したものがMC3403

LM324358

NS

324Quad358Dual
324
のピン接続がQuadタイプの標準となっている

MC3403

ON

LM324上位互換。出力段がAB級。

ゲルマニウムダイオード

●リングモジュレータ
パッシブリングモジュレータは、平衡モジュレータともいい、トランスで平衡化した入力信号をダイオードリング(整流ブリッジとは異なり、4個がすべて同一方向に並ぶ)に印加するもの。順方向電圧が小さくないと実現できないため、ショットキまたは点接触ゲルマダイオードが必要。

1N60

各社

海外ではまだ多数製造されている。昔の国産類似品種としてはNECSD46、松下のOA70など。

トランジスタ

●バッファ、インターフェース等
LED
などの重い負荷のドライブ、外部ゲート/トリガとのインターフェース(レベルシフタ、インバータ)など、個別トランジスタの出番は結構多い。

●スルーホール外形終息

東芝は、スルーホール外形(プリント基板に穴を開けてリード線を挿入し、裏面で半田付けする)の、2SA1015/2SC1815などの全面廃止を決めた。

NEC(現ルネサス)2007年で終息しており、一般的に小売店で入手できる国産品は、これで事実上全部なくなることになる。
US
でも、ONSemiは民生用小信号デバイスの大半をディスコン。2N3904/3906もなくなった(その代り、MIL規格対応品を復活させている)。

2SA733
2SC945A

NEC

NEC/ルネサスはリード型トランジスタ全部をディスコンとしたため「幻の銘器」の仲間入り。

2SA1015
2SC1815

東芝

コンプリ(hFEランクO,Y,GR
入手性、性能、スペックいずれも自作に最適な基本デバイス。

A733/C945をライバルとして生まれ、アマチュア市場を席巻した。

2N3906

2N3904

各社

FCSほか多数。
2N
ナンバーの小信号汎用の標準品。

メーカによるが、一般にhFEのランク区分がなく、シビアな用途には使いづらいことも。高周波特性は優秀。

FET(J-FET)

●アナログスイッチ
CMOS
ロジックファミリには廉価なアナログスイッチ(4016/4066とその派生品)があるが、電源電圧=スイッチできる電圧範囲に制約がある(Bシリーズで16V、現行品は3.35Vどまり)。専用ICはまだやや高価なので、ディスクリートで組む価値が出てくる。

 

●電圧制御抵抗(VCR

 VCAなどのように、あまりリニアリティやダイナミックレンジを要求しない場合、純抵抗として扱えるVCRは便利。古くはペア(モノリシック)を利用した乗算器の回路例がデータシートに掲載されていたことも。

SK363

東芝

ランクVは国産小信号J-FETで最大のIDSSを持ち、rDS(on)の低さとも相まって応用が利く。ただしスイッチングスピードは遅い。

ダイオード
(シリコン)

●リミッタ(クリッパ)、整流、スイッチング、レベルシフト等
ダイオードでなければならない回路は多数ある。
入出力端の保護には、抵抗とダイオードのネットワークに代替できるものはないと言ってよい。

1S2076A

ルネサス

1S1588より低速だが一般的な用途では問題なく代用可能。VCFの電流制御抵抗としてはこちらがよいという評価も。

1S1588

東芝

永らく万能Diの地位を独占。極間容量2pF、逆回復2nSという高性能さに現行品で及ぶものは存在しない。

1SS133

ローム

1S2076Aより高速。ロームは国産最後のリード外形供給元だったが、ついにディスコン。

N914
1N4148

1N4448

各社

FCSONNXPほか。
同じ型番でもスペックは不統一なので要注意(特に最大定格)。1S1583に一番近いのは4448だが、これもメーカーにより大差あり。

正温度係数抵抗

TEMPCO

●アンチログ回路の温度補償
アンチログの温度係数を打ち消す(常温補償)。
温度係数は1℃あたり3300ppm(0.33%)が一般的。
海外では巻線型が主流(古くは小型トランスを利用した自作例も)だが、国産品は金属皮膜抵抗で廉価・高精度なものが入手できたが、表面実装外形品の一部を除きディスコン。

LT

赤羽電具

標準品は抵抗値公差G級だが、特注でF級も。LPより補償範囲が狭いが廉価。

LP

KOA

旧多摩電気製品。公差Fが標準。温度係数補償範囲が広く、安定。その分高価。

 

 

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